インディー、メジャーで活動して分かった事

インディーで活動して、メジャーでも活動して分かったこと。
規模関係なく、ライブをやると基本的に赤字になる。

例え黒字になったとしても、
「これなら家で寝てる方がマシ」みたいな黒字なんて、ハッキリ言って何の達成感も無い。

こんな状況でライブなんてやってると、
本来ミュージシャンにとって一番大事な創作活動に支障をきたすので、
これからは「やってほしい」という声が2000人集まったらライブをする。
昔から思ってたけど、そもそもライブの敷居が低すぎることが問題。
何が基準なのか分からないけど、チケット一枚数千円という相場、安すぎておかしいんよな。

僕がもし今ライブをやるとしたら、10万円で借りられるライブハウスで、
お客さんの入場制限は「1名」。
チケット代は100万円。
購入入った時点でソールドアウト。
利益90万ぐらい。これで良いと思ってる。
さて、ライブでは何をしようかな。2時間~3時間ぐらいの中でギター弾き語りで10曲ぐらい歌って、話もして、
そのお客さんの悩み事を聞いたり、人生が今より好転するように心の中にある殻を破ってあげて、真の自由とは何なのか、色々なことを語ってあげたい。

僕は営業やってたころ、10万~25万ぐらいで仕入れた物やサービスを200万円で売ってた。
他社と相見積もりになった時は、こちらからそのお客は断ってた。
なぜなら僕は、僕と契約することに最も価値があるという営業スタンスだったから。
高い安いで選ぶなら契約相手が僕である必要が無いと思うからだ。

この信念を貫き通したことで、
明らかに競合より僕と契約すると高いのに、
それでも僕を選んで契約したお客さんはけっこう居た。

営業は値引き交渉されることは日常的にあるけど、
僕はお客さんがどうしても値引きしてほしいと頭を下げて頼んでこない限り応じることはなかった。

僕は、音楽でもこのスタイルで居ないとメンタルが持たない。

僕がメジャーを辞めた理由は、単純にプロジェクトチームとの営業スタイルの考え方の違いだけだった。

音楽業界、特にメジャーでは数が求められる。
それはビジネスだから当然だ。

ライブの本数、スーパーやショッピングモールでのパフォーマンス、
ライブの動員数、作品のリリース数、グッズの売り上げ。
僕みたいなポッと出にすらなれてない奴は、頭を下げてでも数を作らなきゃいけない。

これは営業スタイルの問題で、
「どこでも行きますし、どこでもやりますし、何でもやりますよ」っていうスタンスは、
電話帳開いて上から順番に手当たり次第テレアポしたり、
ピンポン鳴らしまくって数売って当てる営業スタイルに似てる。

僕は、決済者と電話が繋がりやすい時間帯だけテレアポして、
アポを取る時も、相手が最も時間に余裕があるであろう時間帯を聞き出して、

「せっかく会うので2時間だけ僕のために時間作ってください。
もし会って喋って、こいつつまらんわってなったら即帰りますんで」

って自信を伝えてから会いに行くスタンス。
アポになれば、相手が経営してる会社や店の情報を可能な限り調べて、商談に向かう営業スタイルだったので、
音楽活動に置き換えると真逆の営業スタイルだ。

それがもちろん悪い訳ではない。
そのやり方が苦痛でないなら、どんどん数をこなすべきだと思う。

僕の知り合いで「契約のために靴舐めろって言われたら舐める」スタンスの営業マンも居たからね(笑)
そいつはそれで数字上がってたし、本人は「苦痛は一切無い」って言ってた。
それは僕には無い能力でそれで成果に結びつくならうらやましい。

僕は、靴舐めてまで契約してもらうぐらいなら要らないって思うタイプ。

メジャーの時の僕のプロジェクトチームは、どちらかというと
「頭下げて、靴舐めてでも…」っていう考え寄りで、
100人〜300人規模のライブで、チケット1枚3000円。
損益分岐点だの、動員だのと考えるストレス抱えて本番迎えるよりも、「1人にチケット100万で買ってもらって即ソールドアウト。
それでお客さんが幸せになって、利益も確定で、関係者スタッフ全員が悩まなくていいライブ」ってどうやったら作れるか?っていうのを考えていきたいと話をしても、みんな現状主義なので「いや、それはさすがにありえない」「いや…それは相場が決まってるんで…」って返ってきて議題になることすらなかった。

10万円で仕入れたものを200万で売ってきた僕からしたら、何も考えずにイメージだけで無理って決め付けて考えようともしないのは逃げか、できない理由を探してるだけで言い訳に聞こえてしまう。
今までアーティストの誰もがやれなかった事をやらずして何がエンターテインメントだというのか?
って思ってしまう。

いちおう言っとくけど、この話はメジャーにネガティブなイメージを持たせるための話じゃない。
他のメジャーアーティスト、他のメジャーレーベルではそれぞれチームカラーが違うから、僕の話は色々あるうちの一つの話でしかない。

念押しで言うけど、僕にとって唯一合わなかったのは、
当時のプロジェクトチームの営業スタイルと僕の営業スタイルがまったく合わなかったから、
このままやってても長く音楽そのものに関わっていける気がしないから辞めたってことが伝えたい。

要するに僕のチームは、
「数が足りなきゃ頭下げてでも動員しよう。
頭下げてでも物販買ってもらおう。
頭下げてでも仕事もらおう。」

要するに、「お願いします。買ってください。お願いしますから来てください。」っていうスタンス。

僕はこれが生き方として無理だったので、
結局、疑問とストレスとモヤモヤが募ってメンタル沈んでいく…みたいな。

メンタルがおかしくなると、やっぱり活動は創作や制作途上の作品にも影響が出るから、
音楽家には本当に良くない。

後にちゃんとチームメイトには心情を伝えて、当時の活動は円満に解散した。

基本的にメジャーは、すごく良い面がある。

ハッキリ言って、僕みたいな「肩書きだけメジャー」みたいな奴でも、
• そこそこ名の知れた番組のタイアップ取れたりとか
• 朝のニュース番組の天気予報の間にずっとMV流れたりとか
• 特番のテーマソングに流れたりとか
メリットは盛りだくさん。
早い話が頭下げて人の言う事聞いて嫌な顔ひとつ見せず人付き合いも上手に渡り歩ける人はメジャーでやるべき。

僕みたいに「好きなものは好き、嫌なもんは嫌、オレはオレの生きたい様に生きていく」という自我が全開のタイプは、ちゃんと自分で決めて考えて実行を繰り返して活動していくべき。

もちろん大ヒット連発する域に達したらこの自我全開スタイルで生きていくことはできると思うんやけどね。

まあ、新人はなかなかそうもいかないでしょ。

僕が今回伝えたいのは、
ライブより波止場で釣りしている方が創作が進むので…
「集めるためのライブはもうやらない」やるなら「出会うためのライブをやる」。
②赤字のライブは自分のためにも、お客さんのためにもならないからやらない。
③利益はしっかりもらう。じゃないとお客さんのためにならない。

特に3は一番大事。これはどんなビジネスや商売でも同じ。

この考え方はちゃんと理解しとかないと、、
音楽業界に限らずどの業界でも、
長期に渡って生き残っていくことは無理だと思ってる。

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